紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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  <紀伊半島の巨木を訪ねる>

 三重県伊勢市河崎 河邊七種神社の大クス

 三重県伊勢市河崎は、江戸時代には伊勢商人の町として栄えた所であり、大湊港(現在は宇治山田港)から勢多川をさかのぼる水運を利用して問屋街が軒を連ねていた。伊勢河崎の街は戦国時代初期には形成されており、江戸時代には参宮客でにぎわう宇治・山田に大量の物資を供給する役割を果たしていた。

 河邊七種神社は、伊勢河崎の氏神として、河崎の街の一角にある。この神社の境内には2本の大きなクスノキがあり、ご神木として祀られているが、特に、大クスの正面に設けられた鳥居に向かって右手の大クスが巨大である。大クスの樹齢は約600年であるので、この大クスは伊勢河崎の街ができた頃から、その歴史とともに有ったということになる。

 この大クスは、高さ2.5m付近から2本の主枝に分かれおり、横に回って見ると、正面から見た場合と比べて倍ほどの幅があり、その大きさを実感する。

 河邊七種神社の直ぐ隣には、明治元年に設置された山田商法会所(商工会議所の前身でわが国最古)があるが、今は使われておらず廃屋のようになっている

 河崎の問屋街であった所は、今も昔の面影を感じさせる古い造りの商家が並んでいる。その中で、特に、「伊勢河崎商人館」は、江戸時代の伊勢商人を代表する「小川屋」(大きな酒問屋であった)の家屋が伊勢市によって補修され、NPO法人によって展示運営されているので、巨木巡りの際には併せて見る価値があろう。この「伊勢河崎商人館」は、平成13年に国の「登録有形文化財」に登録されている。
 
(写真をクリックすると拡大します)
 伊勢河崎の河邊七種神社の境内に、大きなクスノキが2本、ご神木として祀られている。その前には、鳥居が設けられている。向かって右手のクスノキが特に巨大である。
 向かって右手のクスノキの横に回ると、その幅が大きいことが、人物と比べるとよく分かる。
 大クスの上部からは枝が何本も伸び葉をたくさん付けており、この巨木がまだまだ元気であることが感じられる。
 クスノキの葉。クスノキを同定する場合に、葉には鋸状の切れ込みがなく、左右に3本の葉脈があり、葉端がやや波打っていることがポイントとなる。また、葉をもむと樟脳の匂いがする。幹の樹皮は明るい褐色で、やや規則的な縦の割れ目がある。
 伊勢河崎の河邊七種神社の鳥居と石柱。奥に大クスの幹が見える。
 近くの伊勢河崎商人館の土蔵群。建物の中に歴史資料や物品が展示されている。

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